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首班指名決選投票で過半数割れはくじ引き?驚きのルールを解説

首班指名決選投票で過半数割れはくじ引き?驚きのルールを解説 ニュース

「日本の総理大臣が、くじ引きで決まることがあるらしい」

そんな話を聞いたら、あなたはどう思いますか? 「まさか、国のリーダーを決めるのにそんな非民主的な方法が?」と驚かれるかもしれませんね。

しかし、これは単なる都市伝説ではありません。 特定の条件下では、本当に「くじ引き」で首班指名が決まる可能性があるのです。

この記事では、多くの人が知らない国会の驚きのルールについて、その真相と仕組みを分かりやすく解説していきます。

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首班指名決選投票で過半数割れはくじ引き?驚きのルール

結論:参議院の決選投票が同数の場合は「くじ」で決まる

驚かれるかもしれませんが、参議院の首班指名選挙において、決選投票で票数が完全に同数となった場合、最終的に「くじ」で決着をつけるというルールが存在します。

これは、決して曖昧な慣例などではなく、法律ではっきりと定められています。

根拠は国会法第68条

その根拠となるのが国会法第68条です。 少し難しい言葉が並びますが、見てみましょう。

国会法 第六十八条 1 内閣総理大臣の指名については、記名投票でこれを行う。 2 前項の投票において、有効投票の過半数を得た者がないときは、その得票の多い者二人について、更に投票を行い、その多数を得た者を指名すべきものとする。但し、その得票数が同じであるときは、くじでこれを定める

この第2項の但し書きに、「得票数が同じであるときは、くじでこれを定める」と明確に記されています。 つまり、法律に基づいた正式な手続きなのです。

参考:e-Gov法令検索 国会法

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衆議院と参議院でルールが違う

ここで重要なポイントは、この「くじ引き」ルールが適用されるのは参議院のみという点です。 (※厳密には上記の国会法は両院に適用されますが、後述する衆議院の優越があるため、実質的に参議院で問題となります)

衆議院の決選投票で同数だった場合は、単純に決選投票で多数を得た者が指名されることになります。 もし決選投票でも同数という極めて稀な事態が起きれば、最終的には議長が決裁権を持つことになります(衆議院規則第149条)。

なぜ両院で扱いが違うのかを理解するために、まずは首班指名選挙の基本的な仕組みを見ていきましょう。

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そもそも首班指名選挙の仕組みとは?

内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で指名されます。これを「首班指名選挙」と呼びます。

1. 各議院での投票

まず、衆議院と参議院のそれぞれで、所属する国会議員が「内閣総理大臣にふさわしい」と考える人物の名前を書いて投票します。

2. 第一回投票と決選投票

第一回の投票で、有効投票の過半数を得た候補者がいれば、その人がその議院の指名候補者となります。

しかし、候補者が乱立するなどして誰も過半数を獲得できなかった場合は、得票数の多かった上位2名による「決選投票」が行われます。 そして、この決選投票でより多くの票を獲得した人が、その議院の指名候補者となるのです。

3. 衆議院と参議院の指名が異なった場合

ここからが少し複雑です。 衆議院と参議院で同じ人物が指名されれば、その人が内閣総理大臣となります。

しかし、衆議院がAさん、参議院がBさんと、異なる人物を指名する「ねじれ国会」のような状況ではどうなるのでしょうか?

この場合、まず両院協議会が開かれ、話し合いでの一本化が試みられます。

それでも意見が一致しない場合、最終的には日本国憲法に定められた「衆議院の優越」の原則が適用されます。 これにより、衆議院の議決が国会の議決となり、衆議院が指名した人物が内閣総理大臣に就任します。

この「衆議院の優越」があるため、最終的に衆議院の指名が通ることになり、前述の「くじ引き」ルールが現実的に問題となるのは、参議院での指名候補者を一人に絞り込むプロセスにおいてのみ、ということになります。

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なぜ「くじ引き」というルールが存在するのか?

民意を代表する国会で、なぜ運任せとも言える「くじ引き」が最終手段として用意されているのでしょうか。

国政の停滞を防ぐため

最大の理由は、国政の停滞を避けるためです。

内閣総理大臣は、行政の最高責任者です。 いつまでも総理大臣が決まらないという事態は、災害対応や外交、経済対策など、国政のあらゆる面で深刻な遅れを生じさせる可能性があります。

何度も投票を繰り返しても決着がつかない場合に備え、迅速に結論を出すための最終手段(ラストリゾート)として、このルールが設けられているのです。

非常にレアなケースを想定

もちろん、これは極めて限定的な状況を想定したルールです。

  • 参議院の首班指名選挙で
  • 過半数を取る候補がおらず
  • 上位2名による決選投票が行われ
  • その票数が完全に一票も違わず同数になる

このような条件がすべて重なる確率は天文学的に低いと言えるでしょう。 しかし、万が一の事態に備えて、法律はルールを定めているのです。

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過去に「くじ引き」で総理が決まった事例はある?

では、実際にこのルールが適用され、くじ引きで総理大臣が決まったことはあるのでしょうか?

戦後の国会では一度もない

ご安心ください。 調査した限り、戦後の日本の憲政史において、参議院の首班指名決選投票が同数となり、くじ引きで決着した事例は一度もありません。

これは、このルールがいかに例外的なものであるかを示しています。

地方議会では実例あり!

国政ではありませんが、地方議会に目を向けると、議長選挙などでくじ引きによって役職が決まった例はいくつも存在します。

例えば、近年でも以下のような事例が報道されています。

  • 町議会議員選挙で最下位当選者が複数人同数となり、くじ引きで当落が決まったケース
  • 市議会の議長選挙で、決選投票でも同数となり、最終的に議長がくじ引きで決定されたケース

このように、議員数が少ない地方議会では、票数が完全に一致する可能性が国会よりも高く、くじ引きルールが実際に適用されることがあるのです。

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【深掘り解説】もし本当にくじ引きになったら?

読者の中には、「具体的にどうやってくじを引くの?」と気になった方もいるかもしれません。

くじの具体的な方法は?

実は、国会法には「くじで定める」としか書かれておらず、具体的な方法(例えば、棒状のくじを使うのか、紙に書くのかなど)までは規定されていません。

一般的には、その場の議長の裁量に委ねられると考えられています。 おそらく、複数の候補者の名前を書いた紙を箱に入れ、議長がそれを引き当てる、といった方法が取られると予想されます。神聖な議場が、一瞬、緊迫した抽選会場のようになるわけです。

このルール、専門家の見方は?

このルールについて、憲法学者や政治評論家の間では、「民主主義のプロセスとしては異例だが、国政の停滞という最悪の事態を避けるための合理的な規定」として、おおむね肯定的に受け止められています。

あくまで、選挙で示された民意を元に議員が投票するという大原則があり、その結果が完全に膠着してしまった場合の、最後の安全装置(フェイルセーフ)と位置づけられています。

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まとめ:首班指名決選投票で過半数割れはくじ引き?驚きのルールを解説

最後に、この記事の要点を改めて確認しましょう。

  • 参議院の首班指名決選投票で票数が同数だった場合、「くじ引き」で決めるというルールは国会法で定められた事実です。
  • これは国政の停滞を防ぐための最終手段であり、実質的に衆議院にはこのルールは適用されません。
  • 過去にこのルールで総理大臣が指名されたことはなく、極めて稀なケースを想定したものです。

普段のニュースではあまり報じられない、国会の意外な一面。 こうしたルールを知ることで、政治や選挙の仕組みがより立体的に見えてくるかもしれませんね。

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