金メダルへの大きな期待を背負い臨んだ2025年世界陸上。
男子110mハードル決勝で、村竹ラシッド選手は5位入賞という日本人最高タイの快挙を成し遂げました。
しかし、レース直後の彼の瞳にあふれたのは、喜びではなく大粒の悔し涙でした。
インタビューで絞り出した「何が足りなかったんだろう…」という言葉に、多くの陸上ファンが胸を締め付けられたのではないでしょうか。
自己ベストの12秒台には届かなかった理由、そして世界のメダリストたちとの間に横たわる「壁」の正体とは、一体何だったのでしょうか。

この記事では、まず村竹選手が涙ながらに語ったインタビューの全容を詳しくお伝えします。
その上で、専門家の分析を交えながら、レース展開から見えた技術的な課題を徹底解説。
世界のトップ選手との具体的な差、そしてこの悔しさを乗り越えた先に見据える今後の目標までを深掘りし、彼が流した涙の意味と、次なる戦いへの展望に迫ります。

村竹ラシッド、世界陸上5位で流した涙の理由
歓喜なき5位入賞。村竹ラシッド、涙のインタビューで語った「悔しさ」の全容
2025年9月16日、東京・国立競技場が熱狂に包まれた世界陸上・男子110mハードル決勝。
日本記録保持者・村竹ラシッド(JAL)は、13秒18で5位入賞を果たしました。

この記録は、2023年世界陸上の泉谷駿介、そして昨年のパリ五輪で自身が記録した順位に並ぶ、世界大会での日本人最高成績タイです。
しかし、フィニッシュラインを駆け抜けた村竹の表情に、笑顔はありませんでした。
レース後のインタビュー
レース後のインタビューエリアに現れた彼は、懸命に言葉を紡ごうとしましたが、込み上げる感情を抑えきれませんでした。
「本気でメダル取りに1年間必死に練習して。何が足りなかったんだろう。何が間違っていたんだろう」。表彰台まであと0秒06。「人生でこんなに悔しい経験はない」と涙が止まらなかった。
「応援してくださった皆さんの期待に応えられなくて…本当に、悔しいです」

声を詰まらせ、タオルで顔を覆います。
今季、日本人初の12秒台となる12秒92という驚異的なタイムを叩き出し、金メダル候補としてこの大舞台に臨んだからこそ、その悔しさは計り知れません。
ファンやメディアが知りたかったのは、メダルに「足りなかったもの」です。彼は、涙の合間にこう続けました。
「スタートから中盤まではプラン通りでした。でも、そこからもう一段階、ギアを上げる力が…。(メダリストたちと)何が違うのか、今はまだ、分からないです。本当に、何が足りなかったんだろうな…」
この言葉は、パリ五輪後にも口にしたものでした。
世界の頂がすぐそこに見えているからこそ、その「あと一歩」の距離がもどかしく、彼の心を締め付けていました。
村竹ラシッド、メダルへの壁と今後の課題
なぜメダルに届かなかったのか?専門家が分析する「0.19秒」の壁
今回の決勝、金メダルを獲得したのは、絶対王者アメリカのグラント・ホロウェイで、タイムは12秒99でした。
銀メダル、銅メダルの選手も13秒フラットに近いタイムでフィニッシュしました。
村竹のタイム13秒18との差は、わずか0.19秒。しかし、このコンマ数秒にこそ、世界の壁が凝縮されています。
陸上競技解説の為末大氏は、レースをこう分析します。
「村竹選手のスタートの反応速度(リアクションタイム)と序盤のハードリング技術は、世界のトップと遜色ありません。実際に5台目まではメダル争いに加わっていました。
課題は、6台目以降のハードル間でのスピード維持と、フィニッシュまでの加速力です。
世界のトップ選手たちは、後半になっても全くスピードが落ちないどころか、さらに加速してくる。この『後半力』こそが、今回メダルを分けた最大の要因でしょう」
自己ベストが12秒92である村竹にとって、13秒18というタイムは決して満足のいくものではありません。
決勝という極度の緊張感の中、自身の最高のパフォーマンスを発揮することの難しさが、改めて浮き彫りになりました。
さらに知りたいこと:今後の課題と世界のライバル
今回の結果を受け、ユーザーが最も知りたいのは「では、どうすればメダルに届くのか?」という点でしょう。
1. 技術的課題:ハードリングの最適化
村竹選手の課題として、以前から「ハードリング時の滞空時間」が指摘されています。
より低く、速くハードルを越えることができれば、タイムはさらに短縮可能です。
世界のトップ選手は、まるで障害物がないかのようにスムーズにクリアしていきます。
この技術の更なる向上が不可欠となります。
2. フィジカル的課題:100mの走力向上
110m障害は、究極的には「ハードルを跳びながら100mを走る」競技です。
純粋なスプリント能力の向上が、後半のスピード維持に直結します。
現在の100mの自己ベストをさらに引き上げることが、12秒台前半、そしてメダル獲得への鍵となります。
3. 世界のライバルたち
絶対王者として君臨するグラント・ホロウェイ(アメリカ)を筆頭に、パリ五輪で頭角を現した若手選手など、ライバルは常に進化しています。
彼らとしのぎを削るダイヤモンドリーグなど、海外での実戦経験をさらに積み、大舞台でのプレッシャーに打ち勝つ精神力を養うことも重要な要素です。
村竹ラシッドの挑戦は終わらない
「このままでは終われない。絶対に、もっと強くなってこの舞台に戻ってきます」
インタビューの最後に、村竹は前を向いて力強く語りました。
パリ五輪で日本人初の決勝進出、そして今回の5位入賞。彼は間違いなく、日本の陸上界に新たな歴史を刻み続けています。
SNSでは、「悔しい気持ち、痛いほど伝わる」「この涙を忘れない。次こそメダルを!」「感動をありがとう」といった、ファンからの温かい声援が溢れています。
流した悔し涙は、必ずや次なる飛躍への糧となるはずです。世界の頂点を目指す23歳の挑戦は、まだ始まったばかりです。
我々はその軌跡を、これからも固唾を飲んで見守っていきたいです。
村竹ラシッド選手 プロフィール
110mハードルで日本人として初めて12秒台の壁を破った、日本陸上界が世界に誇るトップアスリート。
トーゴ共和国出身の父と日本人の母の間に生まれ、恵まれた身体能力と探求心で、次々と日本の陸上界の歴史を塗り替えています。
なお、トーゴ共和国とは、アフリカのガーナの隣に位置する国でコーヒーやカカオの生産で有名。父親が元陸上選手だったという経歴の持ち主。
2024年パリオリンピックでは、同種目で日本人初の決勝進出を果たし5位入賞。
翌2025年の世界陸上東京大会でも5位入賞と、世界のトップで安定した成績を残し、メダル獲得が最も期待される選手の一人です。
基本情報
| 項目 | 内容 |
| 氏名 | 村竹 ラシッド (むらたけ らしっど) |
| 生年月日 | 2002年2月6日 |
| 年齢 | 23歳 (2025年9月現在) |
| 出身地 | 千葉県松戸市 |
| 身長 | 179cm |
| 体重 | 76kg |
| 所属 | JAL (日本航空) |
| 専門種目 | 陸上競技・男子110mハードル |
学歴
- 松戸市立第一中学校
- 千葉県立松戸国際高等学校
- 順天堂大学
自己ベスト
110mハードル: 12秒92 (日本記録、2025年8月):日本人で初めて13秒の壁を突破。アジア歴代でも2位の記録。
60mハードル: 7秒60 (2022年)
主な実績・経歴
2019年
全国高等学校総合体育大会 (インターハイ) 優勝
2022年
世界陸上競技選手権大会 (オレゴン) 日本代表
2024年
第108回 日本陸上競技選手権大会 優勝
パリオリンピック 5位入賞 (同種目日本人初の決勝進出)
2025年
アジア陸上競技選手権大会 優勝
世界陸上競技選手権大会 (東京) 5位入賞
人物・エピソード
陸上は小学5年生の時に担任の先生に勧められて始め、中学校から本格的に110mハードルに取り組みました。
趣味はドライブ、読書、ゲーム。特に「大乱闘スマッシュブラザーズ」が得意。
レース前に見せる「ジョジョ立ち」のポーズは、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』のファンであることに由来し、ファンの間でも注目されています。
まとめ:村竹ラシッド 世界陸上5位で悔し涙
この記事では、2025年世界陸上男子110m障害で5位入賞という快挙を成し遂げながらも、悔し涙に暮れた村竹ラシッド選手について特集しました。
「何が足りなかったんだろう」という彼の言葉の裏にある、メダルまでわずか0.06秒差という現実、そして専門家が分析する世界のトップとの差を詳しく解説しました。
しかし、彼の涙は決して敗者のものではなく、世界の頂点が明確に見えているからこその、次なる飛躍への誓いです。
インタビューで見せた力強い眼差しは、すでに未来の戦いを見据えていました。
この悔しさをバネに、村竹選手がさらに強く、速くなってくれることは間違いありません。
彼の挑戦はまだ始まったばかりです。今後もその活躍から目が離せません。



