2025年9月、静岡県伊東市で田久保真紀市長に対する不信任決議案が全会一致で可決され、市長は議会を解散。
これにより、10月19日に市民の意思を問う市議会議員選挙が行われるという異例の事態に発展しました。
「なぜこんなことになったの？」「選挙の争点は？」「私たちの暮らしはどうなるの？」
この記事では、そんな市民の疑問に答えるため、一連の混乱の背景から選挙の重要なポイント、そして伊東市の未来の行方まで、最新情報と具体例を交えて分かりやすく解説します。
伊東市議選なぜ？市長不信任から議会解散へ、争点と未来を徹底解説
ことの発端：なぜ市長不信任案は可決されたのか？
今回の異例の事態の直接的な引き金となったのは、田久保市長の「学歴に関する疑惑」と、その後の議会での対応でした。
市の広報誌などに「東洋大学法学部卒業」と掲載されていましたが、実際には卒業しておらず「除籍」となっていたことが判明。
この問題について、議会で十分な説明がなされなかったことや、市政運営への姿勢が問われ、9月1日の市議会で全会一致（出席議員19人）により不信任決議案が可決されたのです。
地方自治法では、不信任案を可決された首長（市長）は、10日以内に「議会を解散する」か「自らが辞職する」かを選ばなければなりません。
田久保市長は議会解散を選択し、市議会議員選挙で市民に信を問う道を選びました。
市議選最大の焦点：市長の運命を握る「7議席」の攻防
今回の伊東市議会議員選挙（定数20）の最大の焦点は、「市長を支持する候補（市長派）が7議席以上を獲得できるか」という一点に尽きます。
地方自治法上、一度解散しても、選挙後の新しい議会で再び不信任案が提出され、可決された場合、市長は自動的に失職（辞職）となります。
この2度目の不信任案を可決するには、「議員数の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意」が必要です。
これを伊東市議会（定数20）に当てはめてみましょう。
- 不信任案の再可決に必要な最低出席人数： 14人（20人 × 2/3）
- 再可決に必要な賛成人数： 11人（14人 × 3/4）
つまり、市長派が7議席を確保すれば、反市長派が不信任案を再可決するのに必要な賛成票（計算上14人以上）を集めることが極めて困難になります。
逆に、市長派が6議席以下に終われば、市長は失職する可能性が非常に高くなります。
まさに、田久保市政の存続をかけた天王山となる選挙なのです。
報道によると、反市長派の前職議員の多くが再選を目指す一方、市長派が何人の候補者を立て、当選させられるかが注目されています。
本当の争点は何だった？「メガソーラー」より「図書館計画」
「田久保市長はメガソーラー反対で当選した」というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、2024年5月の市長選挙の最大の争点は、実は「新図書館建設計画」でした。
【争点１】総工費42億円超の「新図書館建設計画」
前市政が推進していた新図書館計画は、当初の事業費から膨らみ、総工費が約42億円に達していました。
田久保氏は選挙で、この計画のコストや建設場所の妥当性を訴え、「計画のゼロベースでの見直し」を公約に掲げました。
【市民の声（体験談）】
「今の図書館は古くて駐車場も狭いので新しくなるのは賛成ですが、42億円は高すぎると思っていました。人口も減っているのに、本当にそこまで豪華なものが必要なのか。田久保さんが見直しを言ってくれたので期待して一票を投じました」（50代・女性）
この「税金の使い方の見直し」という訴えが、市政の刷新を求める多くの市民の支持を集め、現職を破る原動力となったのです。
【争点２】伊豆高原メガソーラー計画の行方
一方で、伊豆高原で計画されている大規模太陽光発電所（メガソーラー）建設問題も、長年市政を揺るがしてきた大きな課題です。
森林伐採による土砂災害や景観への影響を懸念する市民から強い反対運動が起きています。
市議会は以前から計画に反対する決議を可決しており、市も事業者に対し計画中止を求めるなど、反対の姿勢を明確にしています。
市長選当時、この問題はすでに「市全体で反対」という方向性であり、田久保氏が特にこの一点で勝利したというよりは、市政刷新を求める声の受け皿となる中で、メガソーラー反対派の支持も得た、と見るのが的確でしょう。
現在、市によると事業者からの連絡はなく、工事の進捗は見られない状況です。
市民の暮らしはどうなる？選挙後の2つのシナリオ
今回の市議選の結果によって、伊東市の未来は大きく二つに分かれます。
シナリオ１：市長派が7議席以上を獲得した場合
- 田久保市長は信任を得たと主張し、市政を継続します。
- しかし、議会の多数派は反市長派である状況は変わらないため、議会との対立は続き、予算案や条例案の審議が難航する可能性があります。市政の停滞が懸念されます。
シナリオ２：市長派が6議席以下に終わった場合
- 選挙後の議会で再び不信任案が可決され、市長は失職します。
- その後、50日以内に出直し市長選挙が行われます。
- 市政はさらに混乱し、重要な政策決定が先送りされる期間が長引くことになります。
【市民の声（体験談）】
「正直、市長個人の問題で議会が解散になって、また選挙というのは税金の無駄遣いだと感じます。早く落ち着いて、物価高対策とか、もっと身近な問題に取り組んでほしいです。誰が市長になってもいいから、議会とちゃんと話し合って市政を進めてほしいです」（40代・男性）
まとめ：伊東市議選なぜ？市長不信任から議会解散へ、争点と未来
今回の伊東市議会議員選挙は、単に20人の議員を選ぶだけでなく、田久保市長の進退、ひいては今後の伊東市政の方向性を決定づける極めて重要な選挙です。
一連の混乱の根本的な原因は何だったのか。
各候補者は、市政の課題（人口減少、観光振興、防災対策など）に対してどのような具体的なビジョンを持っているのか。
そして、誰に伊東市の未来を託せば、議会と行政が協調し、安定した市政運営が実現できるのか。
有権者一人ひとりが、目先の混乱だけでなく、伊東市の将来を見据え、冷静に判断し、貴重な一票を投じることが求められています。
選挙日程
- 告示日： 2025年10月12日（日）
- 投開票日： 2025年10月19日（日）
参考リンク
伊東市選挙管理委員会市の公式サイト 選挙公報や投票所の案内など、正式な情報を確認できます。
