※当ページのリンクは広告を含む場合があります

スズメやチョウが減ってる?絶滅危惧種になるかも?原因を調査してみた

スズメやチョウが絶滅危惧種になるかも? ニュース

日本の身近な生き物であるスズメやチョウが急速に減少し、絶滅危惧種に指定される可能性が出てきた背景について詳しく調べてみました。

環境省と日本自然保護協会が実施した大規模な生態系調査の結果、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3.5%以上のペースで減少していることが明らかになりました。

この驚くべき事実の背後にある原因や、私たちの身近な自然環境がどのように変化しているのか、そして今後どのような対策が必要なのかについて、専門家の見解を交えながら分かりやすく説明していきます。

スズメやチョウが減ってる?絶滅危惧種になるかも?原因を調査してみた

環境省と日本自然保護協会が実施した「モニタリングサイト1000」という大規模な生態系調査の結果、里地里山に生息する鳥類やチョウ類の個体数が驚くべきペースで減少していることが明らかになりました。

全国約1000カ所で20年間にわたって行われたこの調査では、スズメやツグミを含む16種の鳥類が、環境省のレッドリストの「絶滅危惧IB類」や「絶滅危惧II類」に匹敵する減少率を示しました。

特に農地や草地、湿地など開けた場所を利用する鳥類の減少が顕著で、2015年以降に急減したことが分かっています。

チョウ類についても、調査対象となった103種のうち33%にあたる34種で急激な個体数の減少が確認されました。

例えば、ミヤマカラスアゲハは年間31.4%もの減少率を示し、10年後には1000匹が30匹ほどになってしまうような深刻な状況です。

日本のスズメの減少率が絶滅危惧種レベルという危うさ…全国1000カ所で20年間、研究者と市民が調査した結果

これらの生き物が減少している原因としては、以下のような要因が考えられます。

  • 里地里山の環境変化:人々の生活様式の変化により、里地里山が適切に管理されなくなったこと。
  • 農業方法の変化:化学肥料や農薬の使用、水田の乾田化などによる生息環境の変化。
  • 気候変動:特に2015年以降の気温上昇が鳥類の減少に影響している可能性。
  • 湿地の減少:シギ・チドリ類など水辺を好む鳥類の生息地が失われていること。
  • ニホンジカの増加:下層植生を食べ尽くすことで、ウグイスなどの生息環境を奪っていること。

これらの生き物の減少は、生態系のバランスを崩すだけでなく、私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があります。

例えば、湿地の減少は洪水リスクの増加や水質浄化機能の低下につながる恐れがあります。

生物多様性を維持・保全するためには、農業や土地利用のあり方を見直し、持続可能な方法で里地里山を管理していくことが重要です。

また、市民参加型の調査や保全活動を通じて、身近な自然環境に関心を持ち、行動することが求められています。

里山の利用が減少した理由は

里山の利用が減少した主な理由は、高度経済成長期以降の社会構造や生活様式の大きな変化にあります。

産業構造の変化により、化石燃料や輸入材の利用が増加し、里山からの資源利用が減少しました。

また、都市化の進行に伴い、多くの農村地域が過疎化し、里山の管理が疎かになるケースが増えました。

さらに、農業や林業の衰退、エネルギー革命による薪炭材需要の低下、化学肥料の普及による森林由来の堆肥需要の減少なども、里山の利用減少に拍車をかけました。

これらの要因が複合的に作用し、里山の荒廃や生物多様性の喪失、土壌の劣化などの問題を引き起こしています。

加えて、農山村地域の過疎化や高齢化により、里山の整備や利活用の担い手が不足し、地域固有の文化の喪失も懸念されています。

里山の荒廃が生物多様性に与える影響は?

里山の荒廃は、日本の生物多様性に深刻な影響を与えています。

この問題について、以下のような重要な点が挙げられます。

絶滅危惧種への影響

里山は多くの絶滅危惧種の生息地となっています。環境省の調査によると、メダカの約7割、ギフチョウの約6割が里地里山に生息していることが確認されています。里山の荒廃が進むと、これらの希少種の生存が脅かされる可能性が高くなります。

身近な生物の減少

環境省と日本自然保護協会の調査結果によると、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3.5%以上のペースで減少しています。

例えば、スズメは年3.6%、セグロセキレイは8.6%のペースで減少しており、オオムラサキの減少率は年10.4%と深刻な状況です。

生態系機能の低下

里山の荒廃は、生態系が提供する重要な機能の低下につながります。

例えば、水質や大気の浄化、洪水の緩和といった機能を持つ二次林が減少することで、環境保全機能が低下する可能性があります。

生息環境の変化

里山の管理放棄により、生物の生息環境が大きく変化しています。農地や湿地などの開けた環境を好む種が特に減少しており、生物多様性の構造が変化しつつあります。

気候変動との相互作用

里山の荒廃は気候変動の影響とも相まって、生態系に複合的な影響を与えています。

例えば、南方系のチョウの増加や、アカガエルの産卵日の早期化など、生物の分布や生活サイクルに変化が見られます。

これらの影響は、日本の豊かな生物多様性を脅かすだけでなく、人間社会にも大きな影響を与える可能性があります。

里山の適切な管理と保全は、生物多様性の維持だけでなく、持続可能な社会の実現にも不可欠な課題となっています。

農薬の使用がチョウの減少にどの程度影響しているのか

農薬の使用は、チョウの減少に大きな影響を与えていると考えられます。

以下に、農薬とチョウの減少の関係について詳しく説明します。

  • ネオニコチノイド系農薬の影響:
    ネオニコチノイド系農薬の使用と、チョウや甲虫類、食虫性鳥類の個体群指標との間に負の相関関係が示唆されています。これは、農薬の使用量が増えるほど、これらの生物の個体数が減少する傾向があることを意味します。
  • 直接的な影響:
    農薬は、チョウの幼虫(イモムシ)や成虫に直接的な毒性を示し、死亡率を高める可能性があります。特に、殺虫剤として使用される農薬は、チョウにも致命的な影響を与える可能性が高いです。
  • 間接的な影響:
    農薬は、チョウの餌となる植物にも影響を与えます。農薬によって汚染された植物を摂取することで、チョウの生存率や繁殖能力が低下する可能性があります。
  • 免疫系への影響:
    農薬への曝露は、チョウの免疫系を弱める可能性があります。これにより、病気や寄生虫に対する抵抗力が低下し、個体数の減少につながる可能性があります。
  • 生態系全体への影響:
    農薬の使用は、チョウだけでなく、その捕食者や餌となる植物など、生態系全体に影響を与えます。これにより、チョウの生息環境が悪化し、個体数の減少につながる可能性があります。
  • 残留性と蓄積:
    ネオニコチノイド系農薬などの残留性の高い農薬は、環境中に長期間残存し、継続的にチョウに影響を与える可能性があります。散布された農薬の95%が環境中に流出するという報告もあり、長期的な影響が懸念されます。

ただし、チョウの減少には農薬以外の要因も関与しています。例えば、里地里山の環境変化、開発、気候変動なども重要な要因として挙げられます。

したがって、農薬の使用がチョウの減少に与える影響の正確な程度を定量化することは難しいですが、重要な要因の一つであることは間違いありません。

チョウの保護のためには、農薬の使用を適切に管理し、生態系に配慮した農業practices を推進することが重要です。また、里地里山の持続可能な利用や保全活動にも取り組む必要があります。

市民ボランティアが里山のチョウを守る具体的な活動は

市民ボランティアによる里山のチョウを守る具体的な活動には、以下のようなものがあります。

モニタリング調査への参加

環境省と日本自然保護協会が実施している「モニタリングサイト1000」のような調査プログラムに参加することができます。

この調査では、全国約1000カ所で生態系の変化を観測しており、チョウの種類と数を調べる活動も含まれています。

具体的な活動内容

  • 定期的に決められた場所でチョウの観察を行う
  • 観察したチョウの種類と数を記録する
  • データを収集・報告する

「庭のチョウ類調査」への参加

NPO法人日本チョウ類保全協会が実施している「庭のチョウ類調査」に参加することもできます。

この調査では、庭やベランダ、近隣の公園などでチョウの観測を行います。

活動内容

  • 月に1回以上、30分程度チョウの観測を行う
  • 観察したチョウの種類と頭数を記録する
  • 結果を協会に報告する

里山の環境整備

チョウの生息環境を改善するための活動に参加することができます。

具体的な活動

  • 里山の下草刈りや間伐などの管理作業
  • チョウの食草や蜜源植物の植栽
  • 外来植物の除去

啓発活動

チョウの保全の重要性を地域社会に広める活動も重要です。

活動例

  • チョウの観察会や勉強会の開催
  • 地域の学校での環境教育プログラムの実施
  • SNSなどを通じた情報発信

保全団体との協働

地域のチョウ保全団体と協力して活動を行うことも効果的です。

例えば、「赤城姫を愛する集まり」のような団体と連携し、特定の種の保全活動に参加することができます。

これらの活動に参加することで、市民ボランティアは里山のチョウの保全に貢献し、生物多様性の維持に役立つことができます。

また、これらの活動を通じて、参加者自身の環境意識も向上することが期待されます。

活動例

Honda は、1999年から継続して実施している森林保全活動に加え、2020年に八王子市と活動協定を締結し、上川の里特別緑地保全地区で里地里山保全活動を行っています。

他の絶滅危惧種と比べてスズメの減少率はどの程度か

スズメの減少率は、他の絶滅危惧種と比較すると以下のようになります。

  1. スズメの減少率:
    スズメの年間減少率は3.6%と報告されています。この減少率は、環境省のレッドリストの「絶滅危惧IB類」や「絶滅危惧II類」に匹敵する値を示しています。
  2. 他の種との比較:
  • セグロセキレイ:年間8.6%の減少率
  • オオムラサキ:年間10.4%の減少率
  1. 絶滅危惧種の基準:
    環境省のレッドリストでは、年間減少率が3.5%以上の種を絶滅危惧種として扱う可能性があります。スズメの3.6%という減少率は、この基準をわずかに上回っています。
  2. 全体的な傾向:
    調査結果によると、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3.5%以上のペースで減少しています。スズメはこの中に含まれており、多くの身近な生物種が同様の危機に直面していることがわかります。

スズメの減少率は、セグロセキレイやオオムラサキほど深刻ではないように見えるかもしれません。しかし、スズメが日本の都市部や農村部で非常に一般的な鳥であったことを考えると、この減少率は非常に懸念すべき状況です。

また、スズメの減少は生態系全体のバランスに影響を与える可能性があり、その影響は広範囲に及ぶ可能性があります。したがって、スズメの減少率は他の絶滅危惧種と同様に深刻に受け止める必要があり、早急な保全対策が求められています。

里山の環境改善策としてどのような取り組みが行われているのか

里山の環境改善と保全のために、さまざまな取り組みが行われています。

主な取り組みとしては以下のようなものがあります。

多様な主体による協働活動

  1. ボランティア団体の活動
    全国に1000近くある里山保全に関わるボランティア団体が、下草刈りや間伐などの管理作業を行っています。
  2. 行政と地域団体の連携
    地方自治体が地域団体等の活動に対して継続的な支援を行い、協働で里山保全に取り組んでいます。

人材育成と体制整備

  1. 里山ボランティアの養成
    自治体や環境団体が里山ボランティアの募集および養成研修を実施し、保全活動の担い手を育成しています。
  2. 専門家の育成
    希少野生生物保全指導員の養成など、専門的な知識を持つ人材の育成も行われています。
  3. 連携組織の設立
    里山保全再生活動団体等連絡協議会のような組織を設立し、多様な主体が連携して活動できる体制を整備しています。

環境教育と普及啓発

  1. 体験学習の実施
    地域の農家と連携したたんぼ学習や、里地公園を活用した総合学習(農村生活体験や米作り)などが行われています。
  2. エコツーリズムの推進
    エコキャンプの実施やログハウスづくり、田植え体験などを通じて、都市住民と農村部の交流を促進しています。

生態系の保全・再生

  1. 希少種の保護活動
    地域住民主体のアベサンショウウオの調査・保全活動など、絶滅危惧種の保護に取り組んでいます。
  2. 生息環境の改善
    農地・里山林境界部に鳥獣とのバッファゾーンを創出し、放牧による維持管理を行うなど、野生動物との共生を図っています。
  3. 竹林の整備
    ボランティア活動による集落周辺の竹林整備や、竹ドームづくりを通じた地域の巻き込みなどが行われています。

これらの取り組みを通じて、里山の生態系保全と地域コミュニティの活性化を同時に進めることが目指されています。

また、環境省は重点的に保全すべき「重要里地里山」を選定し、効果的な保全策の実施を計画しています。

里山の保全には、地域の実情に応じた多様なアプローチが必要であり、行政、地域住民、ボランティア、専門家など、さまざまな主体が協力して取り組むことが重要です。

里山の荒廃が自然環境を元の状態に戻すため、山里の生物に好都合にならないのか?

山里(里山)の荒廃が自然環境を元の状態に戻すため、山里の生物に好都合という判断はできなのが調査結果です。

以下にその理由を説明します。

  • 里山の生態系バランス:
    里山は人間の管理によって長い時間をかけて形成された独特の生態系です。この環境に適応した多くの生物種が存在し、人間の適度な介入によってバランスが保たれてきました。
  • 絶滅危惧種の生息地:
    環境省の調査によると、絶滅危惧種の多くが里山に生息しています。例えば、メダカの約7割、ギフチョウの約6割が里山に生息していることが確認されています。
  • 急激な環境変化:
    里山の荒廃は急速に進行しており、生物が適応する時間が十分にありません。環境省の報告では、2050年までに里山の3~5割が無居住地化し、荒廃が拡大すると予測されています。
  • 開けた環境を好む種の減少:
    調査結果によると、農地や湿地などの開けた環境を好む種が特に減少しています。これは、里山の管理放棄によって森林化が進んだ結果と考えられます。
  • 生態系サービスの低下:
    里山の二次林は、水質や大気の浄化、洪水の緩和といった重要な機能を持っています。管理放棄によってこれらの機能が低下する可能性があります。
  • 外来種の侵入リスク:
    管理されない里山は、外来種の侵入を受けやすくなる可能性があります。これは在来種にとって脅威となります。
  • 気候変動との相互作用:
    里山の荒廃は気候変動の影響とも相まって、生態系に複合的な影響を与えています。例えば、南方系のチョウの増加や、アカガエルの産卵日の早期化などが観察されています。

したがって、里山の荒廃は多くの生物種にとって好ましくない影響を与えており、単純に自然環境を元の状態に戻すものではありません。

その結果、里山の適切な管理と保全が、生物多様性の維持に重要であると考えられています。

里山の保全に最も効果的な方法は?

里山の保全に最も効果的な方法は、多様な主体の参画と協働による総合的なアプローチだと考えられます。

具体的には以下のような取り組みが効果的です。

  • 地域住民の主体的な参加:
    里山は地域に根ざした環境であるため、地元住民が中心となって保全活動に取り組むことが重要です。日常的な管理や見回り、伝統的な利用方法の継承などを通じて、持続可能な保全を実現できます。 例≫はだの里山保全再生活動団体等連絡協議会
  • 多様な主体の連携:
    行政、NPO、企業、研究機関、教育機関などが連携し、それぞれの強みを活かした保全活動を展開することが効果的です。例えば、神奈川県では「里山保全再生活動団体等連絡協議会」が設立され、多様な主体の協働による体制整備が進められています。
  • 環境教育の推進:
    里山の価値や重要性を次世代に伝えるため、学校教育や社会教育を通じた環境教育プログラムの実施が重要です。体験学習や自然観察会などを通じて、里山への理解と愛着を深めることができます。
  • 持続可能な利用の促進:
    里山の資源を活用した新たな産業創出や、エコツーリズムの推進など、経済的な持続可能性を確保することが重要です。例えば、バイオマス利用や地域ブランド農産物の開発などが挙げられます。
  • 科学的な調査と管理:
    生物多様性の保全や希少種の保護のためには、専門家による科学的な調査と、それに基づく適切な管理が必要です。モニタリング調査の実施や、データに基づく管理計画の策定などが重要です。
  • 法制度や支援制度の整備:
    里山保全のための条例制定や、保全活動への助成金・補助金制度の整備など、行政による支援体制の構築も効果的です。

これらの取り組みを総合的に実施することで、里山の生態系サービスを維持しつつ、地域の活性化にもつながる持続可能な保全が可能になると考えられます。

【まとめ】スズメやチョウが減ってる?絶滅危惧種になるかも?

この記事では、スズメやチョウなどの身近な生き物が急速に減少し、絶滅危惧種に指定される可能性が出てきた背景について詳しく解説しました。

環境省と日本自然保護協会による大規模な生態系調査「モニタリングサイト1000」の結果、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3.5%以上のペースで減少していることが明らかになりました。

この急激な減少の主な原因として、里地里山の環境変化、農業方法の変化、気候変動、湿地の減少、ニホンジカの増加などが挙げられます。

特に、農地や草地、湿地など開けた場所を利用する生物の減少が顕著であり、2015年以降に急減したことが分かっています。

これらの生き物の減少は、生態系のバランスを崩すだけでなく、私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があります。

生物多様性を維持・保全するためには、農業や土地利用のあり方を見直し、持続可能な方法で里地里山を管理していくことが重要です。

また、市民参加型の調査や保全活動を通じて、身近な自然環境に関心を持ち、行動することが求められています。

タイトルとURLをコピーしました