衝撃的なニュースが飛び込んできました。
在大阪中国総領事館の薛剣(せつけん)総領事が、X(旧Twitter)上で、日本の高市早苗首相に対し「首を斬ってやる」という趣旨の、殺害予告とも受け取れる非常に過激な投稿を行い、国内外で批判が殺到しています。
一国の総領事という外交官が、駐在国の首相に対してこのような発言をすることは極めて異例です。
この記事では、一体何が起きたのか、薛剣総領事とは何者なのか、そしてこの前代未聞の事態がどのような結末を迎える可能性があるのかを、分かりやすく解説します。
薛剣総領事、高市首相へ「首を斬る」と暴言!
薛剣総領事の高市首相への暴言「汚い首を斬ってやる」の具体的内容と経緯
問題となったのは、高市早苗首相が国会で「台湾有事は(日本の)存立危機事態になりうる」と発言したことを報じたニュース記事に対する、薛剣総領事の引用投稿でした。
上記を分かりやすく言うと、高市早苗首相は、国会において「台湾有事(=台湾が武力攻撃を受けるような危機)」について、「日本にとって『存立危機事態』、つまり、国の存続に関わる重大な事態になりうる」と発言しました。これは、日本が集団的自衛権(同盟国などが攻撃されたときに自国も一体となって防衛措置を取る権利)を行使できる可能性がある、という意味になります。
薛剣総領事は、このニュースに対し、以下のように非常に攻撃的な言葉で投稿しました。
「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか」
この内容は、高市首相個人への脅迫、さらには殺害予告と解釈されても仕方のないものであり、X上ではスクリーンショットと共に瞬く間に拡散。
「外交官の発言としてありえない」「一線を超えている」と、怒りと困惑の声が広がりました。
薛剣総領事とは何者?「戦狼外交」の代表格だった!過去の過激発言まとめ
「この薛剣という人物は一体何者なのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。
薛剣総領事は、中国の攻撃的で強硬な外交スタイル、通称「戦狼外交(せんろうがいこう)」の代表格として知られる人物です。
「戦狼外交」とは、中国の国益を守るためなら、相手国に対して高圧的で威嚇するような言動も辞さないという姿勢を指します。これは、中国国内の愛国的な世論にアピールし、同時に国外に対して「強い中国」を印象づける狙いがあるとされています。
薛剣総領事が物議を醸す過激な発言をしたのは、今回が初めてではありません。
- 2021年:「台湾独立=戦争。はっきり言っておく!」台湾問題を巡り、非常に強い言葉でXに投稿。この発言は日本の国会でも取り上げられ、問題視されました。
- 2025年6月:ナチス・ドイツとイスラエルを同一視する投稿パレスチナ問題を巡り、ナチス・ドイツの「ハーケンクロイツ」とイスラエルの国旗を並べた画像を投稿。これに対し、駐日イスラエル大使から「深い嫌悪感を覚える」と猛烈な批判を受けました。
このように、薛剣総領事は意図的に過激な発言を繰り返し、摩擦を生んできた経緯があります。
投稿削除後の動きと国内外の反応
高市首相への「首斬り」発言は、あまりに過激すぎたためか、後に削除されました。
しかし、火種が消えたわけではありません。
薛剣総領事は投稿削除後も、自身の主張を支持する他のユーザーの投稿をリポスト(再投稿)したり、「『台湾有事は日本有事』は死の道だ」といった持論を引き続き展開しており、反省の色は見られません。
この事態に、政界からも厳しい声が上がっています。松原仁衆院議員は、自身のXで「ウィーン条約に基づき国外追放すべきだ」と、日本政府に毅然とした対応を求めました。
世間の声も厳しく、X(旧Twitter)上では、
「外交官の言葉ではない。完全に殺害予告だ」
「日本政府は即刻抗議し、厳重な処分を求めるべきだ」
「こんな人物を日本に置いておいていいのか」
といった、薛剣総領事の即時更迭や国外追放を求める意見が噴出しています。日本政府の公式な対応が、今まさに注目されています。
【解説】「ペルソナ・ノン・グラータ」とは?国外追放は本当にあり得るのか
松原議員が言及した「国外追放」は、外交の世界で「ペルソナ・ノン・グラータ」の通告と呼ばれます。これが、薛剣総領事の「末路」として現実的にあり得るのでしょうか。
ペルソナ・ノン・グラータ(Persona non grata)とは、ラテン語で「好ましからざる人物」という意味です。
これは、外交官や領事官を受け入れている国(この場合は日本)が、その人物を「好ましくない」と判断した場合に、派遣国(中国)に対して国外への退去を求めることができる制度です。
この権利は「領事関係に関するウィーン条約」によって認められています。
- 関連リンク: 領事関係に関するウィーン条約(外務省) ※PDFファイルが開きます
この条約の第23条に基づき、日本政府は「理由を示さずに」いつでも薛剣総領事を「好ましからざる人物」として通告し、中国政府に彼を本国へ召還するよう要求できます。もし中国がこれを拒否した場合、日本は彼を領事館のスタッフとして認めない、つまり外交官としての特権を剥奪することができます。
過去にも、他国が日本駐在の外交官をペルソナ・ノン・グラータとした事例や、日本が他国の外交官に対してこの措置をとった事例(スパイ活動などが理由)、さらにはカナダが脅迫的な言動を理由に中国の外交官を国外追放した事例もあり、決して非現実的な話ではありません。
今回の「殺害予告」とも取れる発言は、外交官の任務を定めた同条約の規定(接受国=日本の法令を尊重する義務)に著しく違反する可能性が極めて高く、日本政府が最も厳しい措置である「ペルソナ・ノン・グラータ」の通告に踏み切るかどうかが、最大の焦点となります。
まとめ:薛剣総領事、高市首相へ「首を斬る」と暴言!
今回の事件の要点を整理します。
- 中国の薛剣・駐大阪総領事が、高市首相に対し「首を斬ってやる」という殺害予告ともとれる暴言をXに投稿しました。
- 薛剣氏は、過去にも過激な発言を繰り返してきた「戦狼外交」の代表的人物です。
- 投稿は削除されたものの、国内外から批判が殺到し、松原仁議員など政界からは「ペルソナ・ノン・グラータ(国外追放)」を求める声が上がっています。
- 「ペルソナ・ノン・グラータ」はウィーン条約で認められた正当な権利であり、過去に発動された事例もあります。
一国の総領事が駐在国の首相を「斬首する」と脅迫する――。前代未聞の外交問題に発展した今、日本政府がどのような判断を下すのか、その対応が厳しく問われています。


